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2012年3月12日
《マーケットストラテジーメモ》 3月第3週

<推移>

5日(月):日経では「被災地市町村、生活再建遅れ」の記事。震災からの復旧・復興は喫緊の課題ながら相変わらずスピード感は遅い。
一方トムソン・ロイターの調査。
米S&P総合500種指数採用企業の2011年第4・四半期決算は前年同期比で9.4%の増益見通し。もっともアップルを除くと、増益率は6.3%。いかにアップル効果が大きいかということにもなる。業種別では、工業が17.7%増益、情報技術(IT)が17.3%増益。通信サービスは22.8%の減益。2012年第1・四半期については、1株利益予想を下方修正した企業が68社、上方修正した企業が25社。下方修正した企業の数を上方修正した企業の数で割ったN/Pレシオは2.7倍と、2009年第1・四半期以降で最悪。こちらは明るくない。

日経平均株価は78円安の9698円と反落。東証1部の売買代金は1兆1341億円と低調。市場では「メジャーSQの週であり、週末に雇用統計と控えて動きにくい」との声。自動車やソニーなどが軟調。一方、配当利回りの高いNTTドコモは堅調。ロシアのプーチン大統領選出は影響薄。

6日(火):日経1面では「スーパーや百貨店、運営の正社員は女性のみ」との見出し。セブンアイが先行して行うという。労働現場も消費の現場も女性力が上回る方向性は拡大基調、中国が全人代で成長目標を8%から7.5%に引き下げたことは嫌気されているが規定路線でもある。日経マーケット面では「中国関連株、消費財底固く」の見出し。ユニ・チャームやアサヒ、ファナックなどの株価の堅調さの背景とした格好。もっとも海運や鉄鋼などは逆に軟調との指摘も見られる。
日経平均株価は60円安の9637円と続落で5日連続の陰線。市場からは「ヘッジファンドなどは日経平均先物買いと円売りを組み合わせる取引を膨らませていたが、持高解消の動きも見られる」との指摘。生保などの国内機関投資家の3月期末を控えての売り観測も指摘される。ホンダ、商船三井などが下落。一方で、首都高速の修理の方向の報道から日本橋梁など材料系銘柄が堅調。公募増資価格を決定したマツダは上昇。

7日(水):「反落」がふさわしいのか「調整」という言葉が良いのか。あるいは「一時的上昇停止」なのか。言葉はどうあれど、この数日株価が下落してきたことだけは間違いない。米国の経済指標は悪くない。雇用統計もおそらく悪くなく着地の方向。少しの懸念は原油先物価格の上昇。オバマ大統領は世界の原油生産について懸念を表明したが、どうもポーズのような気がしないでもない。ギリシャ問題は、いずれにしても浮かんでは消える泡沫みたいなもの。「騒がず・慌てず・うろたえず」がたぶん正解。
中国の成長鈍化も言われるが、7.5%は少なくとも低成長ではない。となると、根本の問題はこの国の企業の収益動向。前日野村が発表した2011年度の主要353社の経常利益は10年度比20.5%減益の見通し。前回見通しからはマイナス7.6%だが、これとてタイ洪水・円高・原材料高を織り込んでの数字。しかも来期については40%程度の増益見通しも一尾では語られており悪くない筈。強いて言えば、コンピュータが「3.11」の歴史的事実を覚えていて反応するかどうかかも知れない。材料株→主力株というワンセットの第2ステージと考えたいところ。下がってくれば「生保等機関投資家の売り観測」、上がってくれば「外国人の買い観測」と、後付ばかりの印象。
日経平均株価は61円安の9576円。NYダウが200ドル以上下落した割には比較的底固い動き。ただ年初大発会から連続した水曜株高のアノマリーは消えた。トヨタが6日続落。ファナック、コマツも軟調。

8日(木):日経1面では「コマツ、電力購入半減」の報道。夏場の電力不足を多分にアピールする記事であろうが、企業は自給自電の方向であることは間違いない。
ギリシャの債務削減期限が迫る中行われたドイツの33億1000万ユーロの5年債入札。落札平均利回りは0.79%と過去最低を更新。そのギリシャの債務削減交渉は全体の4割の投資家は賛成。しかし一部のヘッジファンドが債務交換に応じない姿勢を示しているとの報道、まだ結論は見えない。大西洋を渡ってアメリカ。FRBが発表した1月の消費者信用残高は前月比177億7600万ドル増で5ヶ月連続での増加。市場予想の100億ドル増を大きく上回った。相変わらず指標は悪くない。そしてADP全米雇用リポートで非農業部門の雇用者数は21.6万人増と市場予想を上回って着地。週末の雇用統計に対する期待感が増大した。さらにWSJ電子版は「FRB幹部が金融緩和の追加策を検討」と報道。一日たってみれば、前日のNYはやはり単なる高値警戒感の台頭だった印象。ブラジルや中国まで持ち出して下落の解釈をするから奇妙なコメントになっていた。
日経平均株価は大引けにかけての急騰。192円高の9768円と高値引けとなった。メジャーSQを控え日経平均先物に「仕掛け的な買い」が入ったとの解釈。「仕掛け的な売り」というのはしばしば聞いた言葉だが「仕掛け的な買い」は久しぶり。問題は東証1部の出来高が21億株台、売買代金が1兆2704億円と比較的少なかったこと。もっとも少し前の売買代金5000億円割れから考えれば上等でもある。やはり覚えておきたいのは、「すくみが動意の前兆」ということだろうか。個別ではファーストリテが上昇、シャープが下落。

9日(金):日経1面では「東レ、炭素繊維5割増産」の見出し。自動車や航空機での軽量化に対する需要が拡大しているとの報。
2月景気ウォッチャー調査の先行き判断指数は、前月比3.0ポイント上昇し50.1ポイント。07年4月以来4年10ヶ月ぶりに「50」を上回った。コメントは「超円高修正で輸出や設備投資に期待」「エコカー補助金が自動車の生産・販売を後押し」「復興重要の期待が西日本にも広がる」「消費増税をにらんだ駆け込み需要」「原油高への懸念は強まる」。悪くはない。そして1〜3月GDPは民間予測平均でプラス1.9%。これも悪くはない。
日経平均株価は160円高の9929円。一時1万円台を回復する場面もあった。しかも日経平均株価の週足は24年ぶりの9週連続陽線。東証1部の出来高はメジャーSQの影響もあり34億7976万株、売買代金は2兆4018億円と拡大。全体の7割の銘柄が上昇しほぼ全面高。

<欧米動向>

雇用統計は22万人増で着地。そして前月の24万人増は28万人増に上方修正。数字上のアメリカ経済は着実に回復している。もしも不調ならば、QE3(追加金融緩和)という備えもあり、堅調な展開が見込まれようか。ギリシャ問題も一時休戦。欧米動向は阻害要因にはならないと見る。
市場で少し話題なのは、GSのジム・オニール氏のコメント。「日本国債の利回りは今後2〜3年で3.5%に上昇。逆にイタリア国債利回りは3.5%に下落し日本国債の利回りと並ぶ」。加えて囁かれているのは先日来日したIMFの調査結果が「日本国債暴落の可能性」。どうも世界マネーは売り場を求めている気配だし、そのターゲットは日本国債という可能性は低くない。
救いはオニール氏のストラテジーで「日本国債売り→円安→日本株買い」のシナリオ。ある一定限度まではこの法則は成り立つに違いない。しかし、1ドル150円とか日本国債利回り5%になってくると話は別。怒涛の円高→快適な円安→地獄の円安シナリオは押さえておいた方が良さそう。

<アジア新興国動向>

「すごい」と思ったのは韓国の動向。昨年の円建て外債の発行額が3700億円となり前年比2倍の水準。全体では2兆4000億円を外貨で調達。もっとも、そのうちドル建てが減少したとはいえ55%で圧倒的に多い。それでも円建ては7%→19%とドルの減少分は増加。穿ってみればウォン安によるマイナス面を打ち消すため。円高局面→円安局面の可能性の高い円で補おうということもあろう。
相次いで韓国詣をしているように伺えるメガバンクのトップのコメント。「これほどまでに韓国へのコミットを示している外銀は当行以外にない」。あるいは「外貨は韓国の銀行より低位で供給できる」。戦略とか展望というものがほとんど感じられない。「薄利を求めて多益が見えない」という印象は間違っていないような気がするが・・・。
中国の経済成長目標は7.5%と減速気味だが、それでも高成長には変わりない。

<推移>

スケジュールを見てみると・・・。

12日(月):1月機械受注、日銀金融政策決定会合、米3年国債入札
13日(火):米FOMC、米2月小売売上高、非公式ユーロ圏財務相会合、独3月ZEW景況感指数、EU経済・財務相理事会
14日(水):1〜3月期法人企業景気予測調査、米30年国債入札、米10〜12月期経常収支
15日(木):2月首都圏新規マンション発売、米2月生産者物価、米3月NY連銀製造業景気指数、米3月フィラデルフィア連銀指数、インド準備銀行金融政策決定会合
16日(金):ユニクロが銀座店開店、米2月消費者物価、米2月鉱工業生産、米3月ミシガン大学消費者信頼感指数

日銀金融政策決定会合、米FOMCと金融に関するスケジュールの週。
とはいえ、ギリシャ問題も一応通過しており、課題は米国債入札程度だろうか。
日経平均株価は9日(金)に一時1万円台を回復しており、これが維持できるかどうかに注目は集まろう。
ただ1万円は心理的水準であり、あくまで通過点。
日本企業の今期減益よりも来期増益の方が市場では言われ始めると見る。

2012年3月12日配信 |