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街なかの小さな一軒の美容室からはじまった会社です
【ストックウェザー(SW)】どんなビジネスをおやりになっているのですか?
【吉原社長】2004年8月にJASDAQに上場させていただいていますが、私が30歳で美容師になって、街なかの小さな一軒の美容室からはじまった会社です。創業から20年経ちました。
会社の事業体がどうなっているかというと、「アルテ サロン ホールディングス」は持ち株会社です。
子会社として、以下の会社がそれぞれ美容室を運営しています。
私が創業した「アッシュ」が83店舗。
また、関西を地盤とした「ニューヨーク・ニューヨーク」という会社が24店舗。この会社は買収したのですが、ここの社長と私は、昔から経営者の仲間としてやってきたので、会社のありかたというのはお互いに理解をしてやってきています。ですから買収といっても、普通のM&Aとは少し違う形だと思います。
それから「スタイルデザイナー」という会社があります。これはボランタリー型(個々の事業者が連携、組織化した)美容室の加盟チェーンです。今、123店舗ありますが、サークルKサンクスさんが今までおやりになっていたものを、去年の1月1日に66.7%資本を持たせていただき子会社化した会社です。今は北関東を中心に展開していますが、今後、中部や、大阪などへも展開したいと考えている美容師の出店、独立援助ができる会社です。
それから「エッセンシュアルズ」という美容室が銀座にあります。ロンドンの「トニー&ガイ」というイギリスで一番大きい美容室のグループと提携をしたもので銀座の店が日本では一軒目のブランドサロンです。
さらに11月から始めた「AMG」というメンズブランド、メンズビューティーサロンが有楽町マルイに入っています。これは「ガブルス・ジャパン」という会社と50%ずつ資本を出し合って経営しています。ガブルス・ジャパンでは首都圏や関西の有力な百貨店を中心にリラクゼーション、ライトエステサロンを展開していて、これから共同で事業をやっていこうということになっています。
美しさ、若々しさと健康ということをテーマに持ち株会社として傘下の会社を育成していこうというのが、今の私たちの会社のあり方です。
【SW】社長は大学で教育学部のご出身だとうかがっていますが、社長自らが美容師の国家資格をお取りになって、美容室を開業したのですか?
【吉原社長】そうですね。大学を卒業して、サロン設備のトップメーカーの「タカラベルモント」に就職、4年間セールスをして、26歳から美容室のマネージャー業を5年間やりました。その間に美容業界のことを観察して、仕事をしながら美容学校に行って美容師の免許を取得し独立しました。
【SW】美容室を開業された時は、その美容室を経営していくだけではなく、今のようなビジネスに拡大して行くというお気持ちはあったのでしょうか?
【吉原社長】30歳の時に最初にオープンした店は家賃が8万5000円、10坪で駄菓子屋の2階にある、小規模の、ごく普通の街なかにある小さな美容室でした。最初の1軒、2軒、3軒まではそんな感じだったので、大きなことは考えられなかったですね。
35歳くらいまでは、毎年1軒ずつ小さな店を作っていこう、少しでもその美容室を繁盛させていこうというのが目的だったのですが、それぞれが月商100万円から200万円というお店の規模で、よく街なかで見かける小さな美容室を4軒やっていただけという感じでしょうか。
そうしたなかで35歳の時に美容室の経営者の会があって、私の恩師の方――セールスマンをしていた時のお客様だった方なのですが――成功している経営者がいらっしゃって、その方のから、「こういう経営の仕方をしないと生き残れませんよと」、いうことを言われ、その方向に舵を取っていったのが転機となりました。
あらゆる立場から業界を見てきたので問題点はわかっている
【吉原社長】私はもともとこの業界をメーカーのセールス、現場のマネージャー、店長、一技術者、そして経営者の立場から見てきたのでこの業界の問題点というのはよくわかっています。
美容室チェーンが発展するための一番の問題点は、店長が独立する時にエネルギーを奪われてしまうということです。店長が独立するということは、組織からその店長がいなくなってしまうということです。多店舗をやっているとほぼ毎年、店長がいなくなっていくんですね。
店長が独立すると、その店は駄目になっていきます。どうしてかというと、店長は一番の教育者で、技術力があり、お客様から人気がある。そしてもちろん売上げをあげる存在です。そういう人がいなくなっちゃうわけですからね。
美容室チェーンでは、そういういうことが周期的に起こるわけです。
せっかくゼロから一所懸命、技術を教え、お客さんまでつけてあげて、最後になにが起こるかというと、お客さんや従業員を持って出て行っちゃうという話です。こうして、みんな零細企業になってしまうわけですね。大きくなりきれない。何軒かまでは行くのですがで、店長が独立するとまた縮小していくんです。
また、独立した店長も結局、同じことの繰り返しです。
10軒以上にはなかなかならない。7〜8軒まではいくのですが、そこからまた縮小していくということになるのです。
私は、そういうふうにはしたくありませんでした。
そこで、じゃあ、みんな独立したいのだから、最初から独立させてあげるという方向でお店作りをしていく、という「のれん分け」型でやっていこうと考えたのです。
実際、うちでは店長が一番やめないんです。なぜかというとそれはお店を譲ることを前提に店長に起用するからです。店は自分のために繁盛させるわけなので一所懸命、責任もって働きます。
もちろん、その時にただで譲るとすると、こちらはデメリットばかりになっちゃいますね。繁盛させて、おまけにお店をあげちゃったということになりますから。(笑)
【SW】そうですね(笑)。では実際にどんなことをされているのでしょうか?
【吉原社長】私たちはさまざまな支援体制を作ることでロイヤリティーをいただいています。
本部は全体の規模が大きくなることによって安く仕入れることができます。そのメリットはお店にも享受してもらいます。
人の募集も本部がいっしょに行なってあげるということもあります。
また、美容師さんというのは職人なので、経理回りだとか総務回りだとかはできないし、やりたくもないんです。お客さんのことと従業員の教育だけを一所懸命やりたいんですね。
また、経営者としての教育を受けていないと、通帳を見て「お金がこんなに余っているのなら、税金払う前に使っちゃえ」という感じでポルシェを買ったりフェラーリを買ったりしちゃうわけですよ(笑)。
次のことを考えたビジネスにならないので、そうしたことも本部でサポートするわけですね。
例えば、「現時点で1000万円のお金はあるけれど、税金を半分、500万円払わなければいけないし、あとの200〜300万円は翌年の人材育成に使いましょう。そうするとあなたが実際に使える会社のお金はこのくらいですよ」という教育をしていくわけですね。
こうした経営者教育をするというところも、いままで業界にはありませんでした。一軒店を持てば「上がり」で、経営者になりますから、勉強しないんですね。
でも本来はそうじゃなくて、美容室が10年、15年続くためにはそれなりに仕組みが必要なわけです。そして引退していく仕組みも必要なんですね。55歳、あるいは60歳になって、自分がこの店をどうしていくのかということを考える必要もあるのです。
【SW】引退していく仕組み、ですか?
【吉原社長】最近よくあるのが、「オーナーが病気になってしまった」という(他の美容室から受ける)相談です。
そうなった時に、他の美容室ではシステムがないから店長に譲れないんですよ。お店を3000万で売ろうとしてもだれも3000万は払えないですよね。うちの店舗はすべてサブリースになっています。1回にどんとお金がかからないようにしているわけです。本部にも、独立していく人たちにとっても良い仕組みを作っています。
【SW】傘下の会社にいろいろなブランドがありますが、ブランド戦略はどんなふうにお考えですか?
【吉原社長】例えばボランタリー型の加盟店チェーンの「スタイルデザイナー」では名前は何をつけてもいいんですよ。
美容師さんは自分で独立してお店やる時には自分で名前をつけたいんです。
美容室の場合は、飲食とは違って、例えば「マクドナルド」という名前で、全部の店を展開できるかというとそうはいかないんですね。
やっている人の「手」が違う。店のある街の雰囲気も違うわけですからね。
それからもう一つはお客様がチェーン店のブランドだから信用してその店に行くかというとそういうこともあまりないんです。
例えば「アッシュ」でも、その名前があるから「アッシュ」に行く、そういう方もいらっしゃるかもしれないけど、一般的には、例えば「アッシュ」の渋谷店に、○○さんがいるからその店に行く、下北沢店に○○さんという技術者がいるから、その人が好きだから行くわけですよ。
極端に言えば、「アッシュ」の82店舗すべての店の名前を変えてもやっていけるわけです。
「来月から名前変わります。店長がつけた名前になりますから」ということになっても、まったく影響はない、お客さんが逃げたりはしないんですね。
お客さんが理解してくれていればいいので、仮に店名が変わってその店にお客さんが来た時に「誰も変わってないじゃん。なんで店の名前変えたの?」「いやぁ、気分」みたいな(笑)、それでもお客さんには通っちゃう業界ですからね。
「ニューヨーク・ニューヨーク」は関西のオーナーが自分で会社始めた時につけた名前ですし、今はフランスの有名サロン「フランクプロヴォー」もやっていますが、名前が大事なのではなく、やる人の意思や哲学が共有できているかということが一番大事だと考えています。
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