第4回「共生と共有 お互いに信頼できる人間がいないとできなかった 夢は全世界に「SHOP99」を」株式会社九九プラス(ジャスダック上場:銘柄コード3338)深堀高巨社長


アメリカの1ドルショップを見たことで…


【ストックウェザー(SW)】貴社が展開する生鮮コンビ二「SHOP99」はもともとスーパーマーケット等を経営していた株式会社ベストの新規事業だったということですが。


【深堀社長】ベストは主力事業のスーパーマーケット部門以外に、ディスカウントの花屋や、外食なども手掛けていました。特にベストが地盤としていた多摩地区ではスーパーの競争が激しかったため、将来を考え新しい事業の柱作りを模索していたんです。

「SHOP99」という新業態を開発したきっかけは、オーナーのアメリカ視察に同行したとき、1ドルショップに出会ったことです。
日本では、その頃から少子高齢化時代がくると盛んに言われ始めていました。ベストのスーパーでも、ある時期を境にお客さまから「お宅の生鮮食品は安くていいんだけど、量が多いね」という声を次第に聞くようになりました。だから、「これからの時代はお年寄りが増えていく。業態そのものを変えないと生き残れない」と思っていたんです。
なのに、見に行ったウォルマートは、日本の小売業と同じ。あまり参考にならないと思って視察団から離れ、オーナーとショッピングモールのようなところをぶらぶらと歩いていました。
その時でした。1ドルショップに出会ったのは。アメリカにワンコインショップがあるというのを知らなかったし、店内を見て本当に驚きました。日本でもまだ本格的な100円ショップという業態はなく、スーパーの前などで商売する催事販売に「百均」(=ヒャッキン、百円均一)というのがあったくらいでしたから。

私が見たアメリカの1ドルショップは広さ100坪くらい、品物は数万点はあったと思います。
最初は1ドルショップだったとは知らなくて。店舗の看板にそんなこと書いてないしね。何か面白そうな店があるなと思って入ったんですよ。で、商品を見ると、「あれ、全部1ドルじゃないの?」と、店の中を回っていて気が付きました。

さっきお話した「百均」の催事で販売していたスプーンは、持って前後に揺らすと、ユリ・ゲラーの超能力みたいに曲がるんですよ(笑)。そのくらい粗悪品を扱っていました。プラスティックの商品もぺらぺらに薄くてね。1回使ったら終わり、という類のものを売っていましたよ。
それがねぇ、アメリカの1ドルショップは「えっ、これが? ほんとに1ドル? すごいなぁ」と、そんな価値がある商品だったんです。1ドルは当時のレートでは、感覚的には100円くらいでしょうか。しかも店内に何万点もある。それは欲しくなりますよねぇ。オーナーと二人で両手を一杯にして帰った記憶があります。

その時、私たちはスーパーで生鮮食品を取り扱っていましたから、「何で雑貨だけなんだ。何で生鮮食品や菓子・調味料を入れないんだ。1ドルショップに生鮮食品などを加えて、ワンコインで売ったらこれは流行るのではないか」と直感的に思いました。
ダイソーさんは、まだ数店舗の展開で有名ではありませんでしたし。日本にこんな業態はない、これはいけそうだ、すぐに日本に帰ってやってみたいと考えました。


大盛況 驚きの声が店のあちこちから…ところが


【SW】「なぜ生鮮食品がないのか」と考えたことが、大きなポイントだったのですね。


【深堀社長】「生鮮食品がなくちゃ、日常生活ができない」と、瞬時に考えました。やはり、お客さまが毎日、利用したいお店でないと便利ではない。それには、食生活に必要な商品は、すべてそろえる必要がある。商圏範囲は、徒歩で行ける半径500メートルくらい。その頃、流行っていたコンビ二エンスストアのような形態でこの業態を作りたい。そう考えました。

価格は全品99円(税込104円、以下同)。でも、激安を打ち出すために99円にしたわけではありません。例えばお惣菜は大容量はいらない。小さく適量に小分けしたものを、わかりやすい単価で売ってあげたらいいじゃないか。そういう発想から「小分け・適量」の商品を、99円で販売しました。
これが、私たちが悶々としていた、これからの時代にどう対応していけばいいのか、という答えに繋がっていったわけですよ。

もともとアイデアを出すことがすごく好きで、実は多摩地区では朝市も、100円均一セールを実施したのも私たちのスーパーが最初でした。だから、100円均一で売るのはそんなに難しいことではないと思ったんです。


【SW】そうして実際にスタートされたのですが、意外な挫折があったとか?


【深堀社長】「99エンオンリーストア」(現在の「SHOP99」)1号店は、お客さまがよく入りました。私は、今まで小売業をやってきて、あれだけお客さまに喜ばれたことはありません。スーパーで朝市をやって行列ができた時も大変喜んでいただけましたが、それ以上でした。

感嘆詞ってわかりますか?「わぁ〜」とか「おぉ〜」とか。そのお客さまの驚きの声が店のあちらこちらから聞こえてくるんです。「えっ〜。これが99円?」って。
それだけお客さまにとって、インパクトがあった。生鮮食品から雑貨までオール99円という、この初めて見る業態に対して驚きを感じたんでしょうね。

そりゃあそうですよね。刺身も肉も全部99円ですから。
1日4,000人近くのお客さまがいらっしゃいましたよ。毎日、すごい勢いで。300坪くらいの売場面積で、それほど集客できる店は他にはないと思いますよ。
ところが、1日の売上高は400万円ほど。月が終わって締めてみたら真っ赤ですよ。何なのこれ、ですよ。通常、スーパーであれほど忙しければ、売り上げは1,000万円は超えているはずですからね。

でも冷静に考えてみれば、そうなんですよ。
スーパーの感覚でバックヤード(商品の在庫保管や加工をする場所)を設け、職人さんを雇い、切って調理、包装して商品を売り場に並べる。この一連の流れが当たり前だと考えていましたから。当然、コストの比重は相当、大きくなりますよね。

単価は、スーパーの約1/3ですから。忙しい割に売り上げが立たないわけですよ。
単価が1/3だからって、「すみません、ウチ、ワンコインショップなんで。電気代1/3にまけてください」というわけにもいかないですからね。コストは通常のスーパーと同じくらいかかりますから赤字になるのは当然です。

それに、野菜には相場がある。寒い、暑い、霜がおりた…。考えてみてください。売値99円ですよ。価格が高騰したらどうなりますか?
いやぁ、冷静に考えてみると、分かりますけどね。「この業態はいける」と意気込んでいたし、100円均一なんてお手のもんだと思っていましたから。
しかし、セールのような期間限定でやるのと、エブリデー・ロー・プライス(毎日が低価格)では、収益構造がまったく違うんですよ。それまでのスーパーの経験を生かすというのは当たり前のことだと思っていましたが、これが大失敗でした。

そこからですよ、試行錯誤が始まったのは。やったはいいけど真っ赤でしょう。
まず取り組んだのが、それまでの常識の全否定。頭の中をからっぽにしました。
売り上げがこうなるだろう。とすると、最終利益はこうだろうと。それから、その利益の中で経常利益がどのくらい残ればいいのかを考えた。メーカー方式、逆算方式をとりました。
営業利益の中で、会社に残さなければならない額を差し引いたものが使えるコストになるんです。
家賃はいくら、電気代はいくらと家計簿に数字を入れていく。とにかくその数字にやり方をあわせるしかない。

だから店舗物件の不動産会社との交渉では、保証金や敷金・礼金は「すみません。払ったことないんですよ」。家賃は「坪1万円以下でないと無理なんです」と言いました。
相手は目が点になっていましたよ。「保証金や礼金は何とか面倒をみてあげられるかもしれないが、家賃1万5000円のところ1万円はないだろう」と。
でもねぇ、私は必死だったんですよ。「そうじゃないと、ウチはできないんです」と。
不動産屋さんは、怒るどころか最後には笑っていましたよ。「君たちは本気なのか」とね。
「いや、本気ですよ」と。それが伝わったんでしょうね。笑いながらOKしていただきました。

それと、人件費をかけないために、コンビニの仕組みを徹底的に学びました。
コンビニの従業員は仕入れた商品を売り場に並べて売るだけですから、給料の高い加工職人も、加工するためのバックヤードも必要ない。作業を標準化できるのでパートを活用することもできる。人件費をぐっと圧縮できるんです。
バックヤードをなくせば面積が小さくなりますから家賃を下げられ、物件も探しやすいですし。多店舗展開をするには、家賃負担を下げることは重要なことですからね。

思い切ってメーカー方式、逆算方式をやった。今までの経験を全部ゼロにしたということが、業態確立のカギになったんだと思います。


やりたくなかったです。正直なところ。だから4回拒否したんです


【深堀社長】実はこの事業を始めるとき、社内にはかなりの反対意見がありました。自らの経験を否定するようなものですからね。ベストは年商300数十億円もあった会社で、スーパー部門は好調でしたし。私も、私以外の人間もみんなスーパー出身でしたから、そんなことでできるのかと。抵抗勢力その1、その2、その3(笑)、その最たるものは私だ(笑)と言っていましたよ。
だから、すべての既成概念を捨てて、私の言うことを信じてやってくださいとお願いしました。私が決断、実行するしかないですから。もうここまでやったのだから、一か八かだ。やるしかない、と。

でも私は、この会社(前身の株式会社九九エンオンリーストア=1999年1月設立)を立ち上げた人間ではないんですよ。当時、私はベストの常務でスーパー部門の総責任者でしたから。設立後、オーナーからスーパー部門をやめて「99エンオンリーストア」一本でやっていくという話があり、同社の責任者をやってほしいと頼まれてやることになりました。
オーナーと私は、ベストの前身の八百屋の頃からの仲なんです。いつもそうなんですが、調子が悪くなると、必ずこちらにお鉢が回ってくる(笑)。ですから、たぶんこの「99エンオンリーストア」もくるなと思っていたんですよ。

4回断りましたよ。赤字になって理想どおりにはいかないものだなぁ、と第3者的に見ていましたし。ワンコインで生鮮食品を扱うのは、やっぱり大変だと肌で感じていましたからね。

やりたくなかったんです。正直なところ。ただね、逃げられないと分かっていましたから。だから、その時いくつかの条件を出しました。まずは、すべて新しい仕組みにするから約1億円を出してほしいと言いました。先ほどお話したことを実現するためにね。

それから人を新たに雇いたい、面接は自分でしたいとお願いしました。自分が考えていることができる人間がほしいから人事権を私にください、と。人事権をくださいというのは、オーナーに口を挟まないでください、と言っているのと同じですからね。私も不退転の決意で言いましたよ。
そして、温め考えていたことを断行したわけです。本当に一か八かでした。そうして、いろいろな仕組みを作っていくうちに、だんだんと赤字額も小さくなっていきました。2000年の10月には、「ベスト」から独立して新会社「株式会社九九プラス」を設立しました。

独立したきっかけは、プリント基板メーカーの株式会社キョウデンに資本参加していただくことになったこと。「これは面白い。応援するよ」、という話になりましてね。ちょうど私が引き継ぎ、新しい仕組みに店舗を作り変え、軌道に乗ってきた頃ですね。

ただし、多店舗化するには店舗規模が150坪〜300坪と大型でした。効率が悪く、物件も取得しにくい。ちょうどコンビニが業績不振になり退店数が増えていたので、これは絶対、小型物件が出てくるぞと目をつけました。店舗規模をコンビニサイズに小型化し、営業時間を24時間に切り替えていった。スーパーでは考えられないことでしたが、この挑戦もよかったのだと思っています。


スーパーにもコンビニにも100円ショップにもない魅力


【SW】コンビニ、100円ショップとの違いは何ですか。どんなところがノウハウになるのか、もう少し教えてください。


【深堀社長】「SHOP99」は、お惣菜、生鮮食品、冷凍食品から日用品まで、弁当・コメ以外は何でも99円でそろえています。

だから品ぞろえはスーパー。価格的にはワンコインショップ。人手がかからず標準化・多店舗化しやすいシステム、24時間営業という点ではコンビニだといえます。

しかしね、スーパーは24時間営業をしていないので不便だし、広すぎます。若い人やお年寄りは敬遠しますね。年を取ると、動くことが億劫になりますから。
この前、アメリカに行った時、ウォルマートと1ドルショップが入っているショッピングモールで、1ドルショップで買物をしている老夫婦に聞いたんですよ。ウォルマートは安くていい店だけど、どうしてこっちで買い物をしているのですか?と。そしたら、「ウォルマートはいい店だよ。安いし。でもね、たくさんの量は必要ないんだよ。ここにもいいものがあるし。それにウォルマートは広い。広すぎて疲れちゃうんだよ」とおっしゃるんです。日本でも同じですよね。
雑貨のワンコインショップは、食料品がありませんので生活必需品がすべてそろいませんよね。コンビニも弁当を買うだけなど、若い人のニーズには合うかもしれないけどすべての客層の要望には対応できない。今は調味料を買いにコンビニに行く人はいないでしょ? 収納代行、ファックス、そういうイメージですよね。

商圏の半径500メートルの中にはいろんな人がいる。お年寄りも、若い人も、男性、女性も。だから、私たちは、そういうさまざまなお客さまに満足していただけるお店にしたかったんです。


【SW】創業当時のコンビニにはもっといろんな日用品などがあった気がします。


【深堀社長】昔は私もコンビニは便利だと思っていました。近頃は偏っていますよね。カップ麺でさえ高額のカップ麺だけになってきましたよね。品ぞろえが悪くなった気がします。

SHOP99がイメージするのは、昔の万屋(よろずや)です。おばちゃんが一人いて、ぼろっちくて小さい。でも、雪が降ってきたから長靴が欲しいと万屋に行くと、「長靴? ちょっと待って。どこかにあったなぁ」という。すると出てくるんです。色はピンクですけど(笑)。
それでいいんですよ。すごくありがたいじゃないですか。色は何であれ、「おばちゃんのところにあってよかったよ」ってなる。こういうことですよ。
食品スーパー、GMS(総合スーパー)に行くとなると、多少おしゃれもしなければならないですしね。つっかけ履いて行くわけにはいかないでしょう? そういう窮屈さをなくしたかったというのもあるんです。

それからドラえもんのポケット。あれは、本当に夢がありますよね。ドラえもんに頼むと何でも出てくる。ショップ99もそうあるべきだと思うんです。ショップ99では黒のネクタイを販売しています。急に葬式に行かなければならなくなった、そういえばSHOP99に黒のネクタイがあったぞ、助かったなぁとなるんです。

この前、床屋の店長に「いま、クールビスだから普段ネクタイをしていないんですよ。ところが、床屋組合の会合が突然ある。そんな時、まずいと焦るんだけど、オタクにいくとネクタイがあるんだよな。結構便利に使わせてもらっているよ」と言われました。そういうふうに言われると、うれしいですよね。
これでこそ小売業だと思いますよ。当てにされる存在っていうね。

こういうところが、スーパー、コンビニには欠けてるんですよね。やっぱり毎日利用したいお客さまには、満足いかない部分があると思うんですよ。
ウチの店は「棚は高いし、商品がたくさんありすぎ」と言う小売業の専門家もいるようですが、私はこれでも商品が足らないと言っているんですよ。とにかくお客さまに要求されたものは何でも置く。ないものはない、そういう店にしたいんです。

「SHOP99」のコンセプトは、従来の小売業の売り方と逆なんですよね。一般的には仕入価格を安くするために一品大量買いをし、集中的に売るというディスカウント商法が流行っていますからね。でも、それは違うと思うんです。お客さまに選ぶ権利がない、ゴリ押しっておかしいですよね。

私は、お客さまの価値観は時と場合によって違う。だから、それに対応できるようにしておくべきだと思うんです。
面白いですよ。ウチではね、お茶は2リットルも、900ミリリットルも、500ミリリットルも、350ミリリットルも99円なんですよ。
最初は専門家に、「アホか?」と言われましたよ(笑)。「何でこんなやり方をやってるの? お客さまは大きい方を買うに決まっている」と。そこでデータを見せてね、「見てご覧なさい。小さいのがちゃんと売れてるんだよ」(笑)って言いました。
弁当を食べるのに2リットルのお茶が必要ですか? 350ミリリットルでちょうどいい。パーティー時には2リットルがいいでしょうね。要はTPOなんです。
電子レンジでチンするパックライスだって、250グラムもあれば200グラムも180グラムも置いてある。女性には180グラムでちょうどいいですからね。


相場をなくす…畑をまるごと買い取るために


【SW】仕入れ方法の中でとくに驚いたのは、畑を丸ごと買い取るという話でした。


【深堀社長】ああ、もうねぇ、苦肉の策ですよね。
どうすりゃいいのかと思っていたんですよ。相場がある商品は、ワンコインではできませんからね。原価が乱高下するたびに今月は儲かった、今月は損したってなるわけでしょ。相場をなくすにはどうしたらいいのかと考えたんですよ。
とは言っても市場で買っている以上は、相場をなくすなんてことはありえないですからね。

スーパー時代にコメの買い付けをしたことがあるんです。その時に農家は一般の取引先と考え方が違うということを知りました。まず、取引をしようとする企業の規模は気にしないんですよ。コメや畑にできる作物をどれくらい買ってくれるのか、いくら払ってくれるのか、年収を保証してくれるのかを重視する。農家の方との取引は、そういう印象がありました。

形がいい野菜は、実はあまり収穫できないんですよ。収穫されるのは、だいたい割れた大根やにんじん、曲がったきゅうり。収穫の割に年収が低いのは、形のいい商品は正規の料金で売れるが、割れたり曲がったものは二束三文だから、と農家の方は言っていました。
これだけで(と大きく手を広げて)、100円。にんじん一箱10キロが50ケースあります。はい、100円。こういう世界なんですよ。
八百屋をやっていた頃、農家の方が「スーパーさんは、ええとこ取りやからなぁ」といっているのを思い出しました。
なるほど、ここを何とかすればいいんだ、と考えました。

ある時、新幹線で仲卸さんと大阪に行く車中、「曲がった作物は漬物にしたらどうだろうか」と提案したんです。どうです? 協力していただけませんかと聞いたら、「わっ、なるほど」と言っていただきまして。それで一気に解決。畑を丸ごと買い取ることができるようになりました。

畑に出来たものはすべて引き取る。形がいいものは99円で売って、形の悪いものは加工する。その仲卸さんが中心となって組合方式で農家をまとめ、農家の主婦にぬか漬けを漬けてもらうようにしました。農家は種まき、水やり、草取りが終われば、ある程度、時間ができますから。加工場を市場内に作ってね。


【SW】農家に新たな収入源も提供したということですね。


【深堀社長】そういうことです。いやぁ、喜ばれましたよ。今はもっと合理的な生産工程でやっていますが、最初はそういうところから始まったんです。
でも、アナリストには「そんなことは、他社に真似されてしまう」って言われました。けど、真似はできないんですよ。
私もスーパーをやっていたから、よくわかるんですけどね。スーパーは縦割り社会で行政と同じ。俺の分野(部門)を侵食するな、侵食してはいけない、という慣習があるんです。各カテゴリーに予算がありますからね。
一方、当社はそういったしきたりや考えをゼロにしました。6部門(カテゴリー)ありますが、商品部は一つ。青果物部門が、日配(にっぱい)部門の担当分野である漬物を、加工・製造することができる。しかも、お客さまの利便性を考えて、青果物部門で作った漬物を、日配部門の売り場に並べられるんです。
今まで、この仕組みをあちこちで話していますが、スーパーがやろうとしていないのは、やはり難しいってことではないでしょうか。


【SW】生産地が保証されている、ということでもあるわけですね。


【深堀社長】そういうことです。協力者が全国に増えたおかげで、いつの時期でもいろんなものをお店に並べることが出来るようになりました。


ローソンとの提携


【深堀社長】これからの課題のひとつは、カウンタービジネスだと考えています。収納代行、ATMといったサービスを付加する必要があるのかなと。だから、そのインフラをお持ちのローソンさんと提携した、ということもあるんです。
※ローソンとの提携について(PDFファイル)


【SW】ローソンとの提携のイメージは?


【深堀社長】コンビ二のローソンさんとは共通する点があるんです。彼らがスーパーマーケットだったら、提携しませんでした。コンビ二も当社の商品も「小分け」ですから。市場全体の売れ筋商品を、「小分け」で共同開発しようということになりました。
やっぱりローソンさんの8000店舗、売上高1兆3000億円という力は大きいです。今まで開発出来なかったもっと価値ある商品が、低コストでできる可能性もあります。「SHOP99」は、1店当たりの販売個数がコンビニの10倍以上という商品もあります。それにローソンさんの店舗数が加われば、メーカーさんにとっても大きなプラスになると思いますよ。

原材料の価格も高騰しているので、多くの量を仕入れることで値上げを抑えることもしなければなりません。
今では当社もメーカーさんに注目していただいていますけど、ローソンさんの信用力によってさらに取引がスムーズにいきます。
だからローソンさんから話をいただいた時に、じゃあ一緒にやりましょうとなりました。


全世界に「SHOP99」を紹介できればいいなと


【SW】社長が会社を経営する上で、もっとも大事にしていることは何でしょうか?


【深堀社長】先ほどの農家の話もそうですが、裏切らないということですね。ウチの社是は「信用と信頼をもって正しい商売」。経営理念が「共生と共有」。何をするにも信頼し合えるパートナーがいないと出来ないんだと思っています。

青果物の仕入れの仕組みは、仲卸の方が夢を共有してくれたから実現したんです。仲卸さんが「社長、夢を追うってのはさぁ、お金がかかるもんだね」って言うんですよ。ウチのシステムを作るのに相当、ご苦労されたんだなぁと思います。
「すいません。ありがとうございました」と言いましたけどね。
それに、この業態を始めるとき、スーパー時代の取引先から次々とそっぽをむかれる中で、「社長、それ面白いよ。全面的に応援するから」と言っていただいたメーカーの方たちが、たくさんいらっしゃったんです。

本当に皆さんに感謝しています。農家の方、仲卸の方、メーカーの方。仲卸さんが目先の利益だけを追っている方だったら、たぶん「SHOP99」という業態は出来上がっていなかったと思います。
愚直にまじめに取り組む姿勢、裏切らないで約束をきちんと守ることで信頼関係は生まれるのだと思います。本気でやれば人は助けてくれる。応援してくれる人が出てくると、痛切に感じました。
これからも今まで助けられた恩を忘れず、この信頼関係を大事にし、本気で取り組んでいきたいと思います。


【SW】今後の社長の夢を聞かせてください。


【深堀社長】全世界に、ウチのこの「SHOP99」を紹介できればいいなと思っているのですが、あんまり大きいことは言わないほうがいいかな。まずは日本ということでね(笑)。

私自身がこの「SHOP99」のファンなんですよ。女房も毎日「SHOP99」で買い物していますしね。
従業員に話したことがあるんですけど、私が学生の頃、この業態があればもっと豊かに暮せたと思うとね。

高齢社会が一段と進み、年金生活者がさらに増えていく。しかし、国民年金や厚生年金をもらって充分に暮らせるという方が、どれくらいいらっしゃるのでしょうか。そういう方に、少しでもお役に立てればいいなと思うんですよ。

先日、訪問した韓国、アメリカにも「SHOP99」のような業態はないんです。アメリカの1ドルショップは、最近はバラエティーショップ化して、10ドルや50ドルのものは置いていましたけど、生鮮食品は相変わらずないです。アメリカに「SHOP99」を出したら喜ばれるだろうなぁって思います。

昔、神奈川県川崎市に出店する前、東京都立川市から川崎市へ引っ越したお客さまから、「早く川崎市にも出してほしい」とメールがきました。びっくりしたのがね、物件を紹介してくれるんですよ。「あそこが空きました」とわざわざ物件の概要を送ってくれて、そこに出してくださいってね(笑)。スーパー時代までは、そんなことをお客さまに言われたことはなかったですよ。「SHOP99があってよかったよ」と言われるのは、本当にうれしいことです。

まず日本全国、そして全世界に。「SHOP99」の看板が世界中どこに行っても並んでいれば、私もひとりの消費者として安心できます。そういうふうにできればいいなと思いますけどね、ずいぶん時間はかかりますね(笑)。


【SW】これから株式投資を始めようという人、あるいは個人投資家に向けたメッセージをお願いします。


【深堀社長】当社の株主総会は、主婦の方の参加が多いんです。それと我々と同じような中高年の方。皆さん、「SHOP99」のお客さまなんですよ。
だから、意見や質問の内容が、すごく現場主義。「もう少し商品をきれいに整頓してください」「接客をよくしてください」と。機関投資家さんと違ってフレンドリーなのもいいですよね。
「共生と共有」と先ほども言いましたが、株主総会に出席し、ご意見をいただくことでこちらも頑張ろうと思う。お客さま、株主さまに企業を支援し育てていただく。
これが本来の在るべき姿だと思います。

「SHOP99」は、アンケートによると名前を知っている方は約8割いるんですが、ミニスーパーや、100円ショップより1円安い雑貨店と誤解している人が、まだいらっしゃるようなんです。
だから、お近くに「SHOP99」がある方は、ぜひ利用していただきたい。実際に利用すると、こんなところを工夫しているんだ、という驚きが結構あるんですよ。そういうことを発見する楽しみも、「SHOP99」にはあるんじゃないかと思いますね。


【SW】貴社の株式に関心がある方は、まずは店を利用してくださいということですね。


【深堀社長】そうです。そうすれば私がここで話したことが、ご理解いただけるのではないでしょうか。今後は個人投資家の方へのIRも積極的に行いたいと考えています。
どうぞ、よろしくお願いいたします。


【SW】長時間ありがとうございました。(了)


インタビューを終えて


今から10数年前に引っ越した街で一軒のスーパーマーケットを見つけました。スーパーなのに市場で買い物をしているような不思議な店作りが好きで、駅前にできたばかりの総合スーパーよりはるかに贔屓にしていました。そのスーパーは今は屋号が変わってしまい、足が遠のいていましたが、[その店の店長もやってたんだよ]と深堀社長の話を聞いてびっくりしました。バックヤードもインストア加工もない 「SHOP99」。社長自ら、今までの経験を否定して展開する店ですが、そのオリジナリティと不思議な感じは、遺伝子としてしっかり残っているような気がします。お近くにお店がある方はぜひ、訪ねてみてはいかがでしょうか?(T)


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